【精機部】コラム

内面研削盤

作成者: セイコーインスツル|Apr 27, 2025 4:49:46 AM

近年、ウェアラブル端末やIoT機器の普及に加え、さまざまな製品の高機能化に伴う複雑化により、高精密な小型部品の需要が高まっています。これらの部品を加工する設備の一つとして、内面研削盤が必要です。

セイコーインスツルでは、長年の腕時計製作で培った高い技術を基に、お客様が持つさまざまな課題を解消できる内面研削盤を提供しています。

 

 

内面研削は、その加工手法の特徴から、加工する砥石部分が「片持ち支持」となります。そのため、砥石を支持する軸の剛性不足や加工速度、砥石の切れ味変化に対して課題が残ります。これらの影響で内面研削加工は、他の研削加工に比べると加工精度が不安定であり、加工効率も低下しやすいと言われています。

また、加工精度や加工効率の向上に加えて、省スペースで低コストな設備本体の開発は簡単ではありません。このような課題に対して、セイコーインスツルでは、お客様の要望に向き合うことで解決策を掲示してきました。

セイコーインスツルの内面研削盤の特長

セイコーインスツルでは、省スペースで加工精度の優れた内面研削盤を用意しています。設備を使用する作業員の作業性や操作性を犠牲にせず、小型な工作物のサイズに合った設備サイズを実現しました。

加工精度については、自社で開発した高性能の高周波スピンドルを採用することで実現しています。また設備本体は汎用性が高く、拡張性に優れています。

 

 

事例1

小型の医療機器用部品など、外径に対する内径の同軸度が要求される小型部品に対しては、一般的に用いられる工具締結方法であるエアチャックやダイヤフラムチャック、マグネットチャックでは精度確保が困難です。

セイコーインスツルの内面研削盤では、ベアリングの加工で使用されているロール主軸機構と自社開発の高周波スピンドルを採用することで、これらの課題を解消しています。

また、パーツフィーダーによる部品の自動供給や加工後のワーク自動測定、自動排出などを実現することで、全自動化を実現しました。加工精度や加工時の効率だけでなく、生産性全体を向上させる要望に対しても、対応可能です。

事例2

精密加工部品の場合には、内面研削の後工程でラップ処理が必要になる場合があります。ラップ処理は最終仕上げの磨き作業で、細かい砥石の粒を含んだラップ液で切削面を研磨することで、鏡面に仕上げていきます。

ラップ処理が必要になる場合、処理にかかる時間を短縮するためには、内面研削の段階で最終仕上げであるラップ処理に近い精度で加工する必要があります。真円度・円筒度と表面粗さを向上することで、ラップ処理の工程が簡略化できます。

セイコーインスツルの内面研削盤では、真円度や円筒度といった形状精度に加えて、表面粗さの向上を実現できるため、ラップ処理時間の短縮が可能です。

事例3

微小穴の内面研削加工を行う場合、砥石を支持するクイルの剛性がより低くなるため、クイルのたわみが大きくなり、寸法精度や形状精度の確保がとても難しくなります。セイコーインスツルの内面研削盤では、高い精度を持つ自社開発の高速スピンドルと長年の経験で培ってきた加工ノウハウにより、最小0.3mmまでの極小径の内面研削を高能率に行うことが可能です。

 

これらの取り組みは、セイコーインスツルの中に息づく"SYO"ismという技術理念に基づいています。腕時計部品向けの精密加工で培ってきた技術は、自社製品だけでなく、小型高精度な加工技術が求められる自動車部品やベアリング部品、医療機器などで活躍しています。

また、セイコーインスツルではお客様に出荷した設備を長く活用し続けてもらうために、修理や改造、制御装置リプレースなどのレトロフィットメニューも充実しています。

まとめ

セイコーインスツルでは、腕時計の開発、生産で培った技術で高精度かつ高生産性の内面研削盤を実現しました。さまざまな業界で需要が高まっている高精度な小型部品に関する悩みがある場合は、セイコーインスツルが提供する内面研削盤が解決策になる可能性があります。

小型精密部品の加工について、困りごとがある場合にはぜひ一度ご連絡ください。本記事でも紹介したように、テスト加工を通してお客様の困りごとを解消できるかもしれません。