【精機部】コラム

スピンドルモーター

作成者: セイコーインスツル|Apr 27, 2025 4:35:52 AM

切削加工機や研削盤などの加工設備には、材料や工具を回転させる回転駆動装置が必要不可欠です。回転駆動装置の一つに、スピンドルモーターがあります。

この記事では、回転駆動装置であるスピンドルモーターについて解説します。また、腕時計製造で培った精密技術と長年にわたる豊富な経験をもとに開発されたセイコーインスツルのスピンドルモータについて、その特徴を紹介します。

 

 

回転駆動装置の多くは、モーター、ギア、ベルトなど複数の部品で構成されており、構造が煩雑で体積が大きくなりがちです。一方でスピンドルモーターは、動力源と回転部が一体化したモーターを採用しており、その構成が簡素な点が大きな特徴です。

装置の構造が簡素なスピンドルモーターは、他の回転駆動装置と同等の能力を持ちながらも小型です。さらに1軸方向以外のスペースを必要としないため、並列に多くの回転軸を構築することが可能です。

スピンドルモーターの主な用途としては、穴あけや切削、研削工具などの動力源が挙げられ、先端にドリルなどの工具を設置します。また、加工ロボットなどにも活用することが可能で、制御性の高さを活かして高精度部品の加工に用いられています。

スピンドルモーターの製品ラインアップとしては、回転数や出力、サイズ、潤滑方式などの違いでさまざまなものが用意されており、用途に合わせた製品の選択が可能です。

また、近年は多品種少量生産などの要求も増えており、1つの製品で適用範囲が広いスピンドルモーターの需要が高まっています。

 

セイコーインスツルの高精度な高周波スピンドルの特徴

セイコーインスツルでは、精密加工分野を中心とした幅広い要望に応えるため、高精度な高周波スピンドルモーターを開発しています。長年の腕時計精密加工で培った技術を元にしており、実際に社内で開発している内面研削盤に採用することで実績を積んでいます。

構造設計の最適化による高剛性化と高精度回転の実現

セイコーインスツルのスピンドルモーターは、回転軸の大径化により高い剛性を確保しつつ、軸受設計や潤滑回路の最適化により高速回転時での高い回転精度を実現しています。
こうした特性により、一本のスピンドルで加工負荷の高い粗加工から、高い加工精度が必要とされる仕上げ加工まで対応することができる点は、セイコーインスツルのスピンドルモーターが持つ大きな強みの一つです。

独自の検査・組立システムによる高い信頼性

精密部品の加工は精度に対する要求が高くなるため、加工設備に対しても高い信頼性が求められます。

セイコーインスツルでは、独自の組み立て技術に加えて、FFT(高速フーリエ変換)による振動解析や運転温度監視、アンバランス修正など、出荷前の検査システムを採用することで、高い信頼性を実現しています。

また、国内メーカーならではの充実したサポート体制を整えており、困りごとや相談がある場合にはスムーズな対応が可能です。

豊富なインターフェースによる高い汎用性

幅広い業界でスピンドルモーターを活用するためには、さまざまな設備に取り付けられる汎用性の高さが重要です。セイコーインスツルでは、さまざまなインターフェース(工具取り付け方式)に対応しており、用途に合わせてオプションで選択することが可能です。

海外製も含め、すでに他社製のスピンドルモーターを使用しているユーザーの場合、インターフェースが合わなければ設備の改造や設備本体の入れ替えが必要になります。しかし、セイコーインスツルでは各種インターフェースへのカスタマイズに対応できるため、既存設備自体の改造や入れ替えをすることなく、比較的容易にスピンドルモーターだけの置き換えが可能です。

また、既存のカタログラインナップでは用途に合わない場合には、カスタマイズの相談も受け付けています。例えば、より高い加工精度や耐荷重が必要となる場合には、セイコーインスツルが持つ油静圧やエア静圧軸受スピンドルの設計・製造技術を活用できます。

 

まとめ

スピンドルモーターは回転駆動装置の中でも小型かつ高精度なので、高精密加工など高い加工精度が求められる業界では、これまで以上に需要が高まっていくと考えられます。

セイコーインスツルのスピンドルモーターは、高い加工精度はもちろんですが、独自の検査システムによる信頼性や既存設備からの置き換えも可能な汎用性の高さを実現しています。

高精度かつ汎用性の高い高速スピンドルモーターを探している、既存設備のスピンドルモーターに関して相談がある方は、一度セイコーインスツルにご連絡ください。