トップメッセージ

精密技術で持続可能な未来を創る

トップメッセージ

 気候変動や生物多様性の喪失などの環境問題は、かつてない深刻さを増しています。人権や貧困も同様に、私たち企業が早急に取り組むべき重大な社会課題です。これらの解決は、もはや選択ではなく、企業が果たすべき責任であると認識しています。
私たちは創業以来、腕時計をはじめとする精密部品や電子デバイスなどの製造を通じて、人々の暮らしと社会の基盤を支えるものづくりに取り組んできました。その源には、腕時計製造時代から受け継がれてきた高精度化、小型化、省エネ化といった「匠・小・省」の技術があります。 

私たちは製造業として社会課題に貢献するために、これらのSIIならではの強みを基盤に事業拡大を進めています。たとえば、腕時計用電源として使われてきた小型電池は、安定した出力電圧特性が評価され、メディカルデバイスにも活用が広がっています。
さらに10年間電池駆動可能な無線センサ技術を応用し、農業ビニールハウス内の温湿度、CO2などをモニタリングすることで農作物の安定栽培をサポートする健農くんをリリースするなど、時代のニーズに合わせた将来性のある事業へと挑戦を続けています。

また、SIIは、脱炭素社会の実現を環境分野における最重要課題の一つと位置づけています。2024年度には、国内全拠点における使用電力の100%再生可能エネルギー化を達成しました。今後は、2040年度までに海外拠点における100%再エネ化を達成し、脱炭素社会の早期実現に貢献していきます。併せて、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減にも継続して取り組み、着実に環境負荷の低減を進めます。 

 そして、人権に関する社会課題の解決に向け、責任ある調達活動を一層強化しています。対象は重要サプライヤーにとどまらず、海外サプライヤーや間接材を取り扱うサプライヤーにも拡大し、説明会の実施を通じて、人権や環境に関する課題の理解を深めるコミュニケーションを広げています。サプライヤーの皆さまと共に、価値創出とリスク低減の両立を目指します。 

 SIIは、社会やステークホルダーから必要とされ、信頼され続ける企業でありたいという思いから、企業理念に「誠実・信頼・感謝」を掲げています。環境に配慮した製品づくりを継続し、適正取引を徹底した調達活動を推進することで、SIIに関わるすべてのステークホルダーの皆さまと共に、持続可能な社会の実現に挑み続けます。そして、変化する時代の中で、新しい価値を創造し続ける企業であることを目指します。 

セイコーインスツル株式会社
代表取締役社長
遠藤 洋一