生物多様性保全

2022年12月に開催された生物多様性条約 第15回締約国会議(COP15)において、新たな生物多様性に関する世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。目標の達成に向けて企業にはより一層の取り組みが求められています。
SIIは、事業活動が生態系サービスの恩恵を受け、同時に影響を与えている企業として、生物多様性の保全は環境経営の重要課題であると考えています。SIIでは2011年4月に生物多様性行動指針を策定し、具体的な取り組みを開始しました。各事業所では生物多様性に配慮した土地利用、植栽活動、ステークホルダーとの連携など事業所の特性に合わせた生物多様性活動を推進し、「自然共生社会」の実現を目指しています。

生物多様性行動指針 (2011年4月制定)

<基本的な考え方>

SIIグループは事業活動が生態系サービスの恩恵を受け、また、同時に影響を与えていることを認識し、生物多様性の保全に努めます。

 

<重点施策>

  • 事業活動を通じた生物多様性への影響について理解を深めます。
  • 製品・サービスのライフサイクルにおける生物多様性への影響を分析・評価し、その低減に努めます。
  • 地域の生物多様性保全に資する社会貢献活動を推進します。

2022年度の総括

SIIは、自然共生型社会実現への貢献 -いきものと共生する事業所-を目指すことを目標に掲げています。事業所敷地における生物多様性への配慮、製品での生物多様性への配慮、そしてステークホルダーとの連携という視点で取り組んでいます。

2022年度も「SIIグループ生物多様性土地利用ガイドライン」に基づき、事業所の敷地における生物多様性の配慮に取り組みました。事業所に生息するいきもの調査や、その調査結果を事業所内で共有するなど、生物多様性の見える化や理解も進みました。製品についての配慮はグリーン商品制度に基づき継続的に取り組みました。ステークホルダーとの連携も、引き続きヒメコマツの育成に取り組みました。

生物多様性に配慮した土地利用

SIIでは2011年4月に生物多様性行動指針を策定し、生物多様性保全活動を開始しました。その後、2016年2月には「SIIグループ生物多様性土地利用ガイドライン」を発行し、ガイドラインに基づいた事業所緑地の利用や、地域の生物多様性保全への貢献活動を継続的に実施しています。2022年度も各事業所では事業所の特徴をいかしたさまざまな取り組みを展開しました。

■絶滅危惧種の保護

大野事業所は、2020年6月に敷地内にて絶滅危惧種であるキンランを発見しました。その後は保護エリアを設定し大切に見守っています。大野事業所は都心に近い千葉県市川市に立地し、事業所周辺は住宅に囲まれている環境ですが、そんな中でキンランが生息していることは大変喜ばしいことです。毎年、開花した姿を確認でき2023年の春には17株が確認できました。今後も大切に見守っていきます。

開花した状態のキンラン
開花した状態のキンラン

環境省・絶滅危惧Ⅱ類

■緑化活動・花壇づくり

Seiko Instruments(Thailand)Ltd.の2つの工場では、工場敷地の緑化活動の一環で合計320本の樹木を植樹しました。植樹はダルベルギア・コチンチネンシスを中心に、5種類の苗木を社員自らが植樹しました。今後も樹木の生長を見守りながら緑化を推進していきます。また、この活動は樹木のCO2吸収による温室効果ガス削減への寄与も狙っています。

植樹中
植樹中

中国の大連精工電子有限公司でも継続的な緑化を進めています。2022年度は緑の複層化をめざし、計12本の樹木を植樹しました。大連精工電子有限公司ではこれまでも継続的に生物多様性に配慮した緑地づくりに取り組んできました。緑地の維持管理では殺虫剤や除草剤の使用は控え、枯れ枝や落ち葉などは堆肥化することにより敷地内で循環しています。

新たに植樹した樹木
新たに植樹した樹木

幕張事業所では「通年で花いっぱい咲き乱れる事業所」を生物多様性保全のスローガンに掲げ、社員による花壇づくりに取り組んでいます。2022年度も夏季および冬季の二回実施しました。

花壇と社員有志
花壇と社員有志

■いきものモニタリングと啓発活動

SIIの各事業所では、いきものの生息場所の提供の一環として巣箱やバードバスなどを設置しています。また、センサーカメラ等を利用した「いきもの調査」も実施し、事業所敷地内に生息しているいきものについて理解を深めるとともに、調査結果は社員への啓発活動に活用しています。

仙台事業所では、センサーカメラを設置して「いきものモニタリング」を実施しています。モニタリング動画は、社員への啓発の一環で社員食堂の入口で公開しています。

モニタリング動画を公開
モニタリング動画を公開

製品と生物多様性

■製品のライフサイクルにおける生物多様性評価

SIIでは、生物多様性行動指針の中で、製品・サービスのライフサイクルにおける生物多様性への影響を分析・評価し、その低減に努めることを掲げています。
その一環として、2012年度よりLIME2を活用した、製品のライフサイクルにおける生物多様性への影響評価の試行を開始しています。

LIME2:(独)産業技術総合研究所が開発した日本版被害算定型影響評価手法の第二版

評価事例

■グリーン商品制度への反映

2016年度からグリーン商品基準(現セイコーグループグリーン商品制度)の環境配慮項目に「生物多様性への配慮」を追加しました。製品ごとに配慮する項目を設定し、製品における生物多様性への配慮を強化しています

ステークホルダーとの連携

幕張事業所のヒメコマツ
幕張事業所のヒメコマツ

生物多様性の保全には、企業単独の取り組みだけではなく、地域や自治体、NPOなど多様なステークホルダーとの協力や連携も重要だと考えています。
理解を深めるとともに、ヒメコマツの遺伝系統の保存に協力しています。 千葉県内に所在するSIIの3事業所では、2016年2月より、千葉県のヒメコマツ回復事業の一環として募集した「ヒメコマツ系統保存サポーター」に登録し、千葉県の絶滅危惧種であるヒメコマツを育成しています。生育状況は毎年10月に千葉県に報告し、苗を育てることでヒメコマツに対する理解を深めるとともに、ヒメコマツの遺伝系統の保存に協力しています。

3事業所:幕張事業所(千葉県千葉市)、高塚事業所(千葉県松戸市)、大野事業所(千葉県市川市)


【2021年度の事例】

SIIでは2011年4月に生物多様性行動指針を策定し、生物多様性保全活動を開始しました。その後、2016年2月には「SIIグループ生物多様性土地利用ガイドライン」を発行し、ガイドラインに基づいた事業所緑地の利用や、地域の生物多様性保全への貢献活動を継続的に実施しています。2021年度も各事業所では事業所の特徴をいかしたさまざまな取り組みを展開しました。

■絶滅危惧種の保護

大野事業所は、2020年6月に敷地内にて絶滅危惧種であるキンランを発見しました。その後は保護エリアを設定し大切に見守っています。2022年は前年度より多くの株が発見でき、開花した姿も確認できました。大野事業所は都心に近い千葉県市川市に立地し、事業所周辺は住宅に囲まれている環境ですが、そんな中でキンランが生息していることは大変喜ばしいことであり今後も見守っていきます。

開花した状態のキンラン
開花した状態のキンラン

環境省・絶滅危惧Ⅱ類

■緑化活動・花壇づくり

エスアイアイ・クリスタルテクノロジー(株)では、社員の手による敷地の緑化を推進しています。2021年度は春季と秋季に芝桜の苗植えを実施しました。苗植えには毎回30名以上の社員が参加し、社員同士のコミュニケーションにもつながっています。

苗植え
苗植え

中国の大連精工電子有限公司でも継続的な緑化を進めています。2021年度は新たに2ヶ所の緑化エリアを設けアカシア、レンギョウ、ライラックなどを植栽しました。大連精工電子有限公司ではこれまでも継続的に生物多様性に配慮した緑地づくりに取り組んできました。緑地の維持管理では殺虫剤や除草剤の使用は控え、枯れ枝や落ち葉などは堆肥化することにより敷地内で循環しています。

緑化エリア
緑化エリア

幕張事業所では「通年で花いっぱい咲き乱れる事業所」をスローガンに掲げ、社員による花壇づくりに取り組んでいます。また、千葉県花き(花卉)振興地域協議会が主催する、花きイノベーション推進事業「幕張新都心地区における花壇づくりコンテスト」に2017年より毎年参加し、2021年度は「奨励賞」を受賞しました。

幕張事業所の花壇
幕張事業所の花壇

■いきものの生息場所の提供・調査

SIIの各事業所では、いきものの生息場所の提供の一環として巣箱やバードバスなどを設置しています。また、センサーカメラ等を利用した「いきもの調査」も実施し、事業所敷地内に生息しているいきものについて理解を深めるとともに、調査結果は社員への啓発活動に活用しています。

高塚事業所(千葉県松戸市)では2021年度よりセンサーカメラを利用したいきもの調査を開始し、ムクドリ、キジバト、バードバスを利用するオナガなどが確認できました。また、敷地内の池にはアオサギが飛来しました。

池に飛来したアオサギ
池に飛来したアオサギ

仙台事業所では既存のバードバスの設置環境を改善しました。設置後に利用された形跡がないことから、新たな場所に木材や草木を利用した空間をつくり、いきものが安心して利用できる環境にしました。近くに設置したセンサーカメラで、リスが利用している姿が確認できました。

バードバスを利用するリス
バードバスを利用するリス

【2020年度の事例】

SIIでは2011年4月に生物多様性行動指針を策定し、生物多様性保全活動を開始しました。その後、2016年2月には「SIIグループ生物多様性土地利用ガイドライン」を発行し、ガイドラインに基づいた事業所緑地の利用や、地域の生物多様性保全への貢献活動を継続的に実施しています。2020年度も各事業所では事業所の特徴をいかしたさまざまな取り組みを展開しました。

■バードバスの設置

仙台事業所では、2020年度の活動の一環でバードバスを設置しました。仙台事業所ではこれまでもセンサーカメラを利用したいきもの調査を実施し、キジ、リス、キツネ、タヌキなどのいきものが生息していることを確認しています。今回はこれまでの活動を拡大したものです。残念ながら、まだバードバスの利用実績は確認されていませんが、今後も見守っていきます。

バードバス
バードバス

■巣箱とセンサーカメラの設置

秋田事業所では、巣箱とセンサーカメラを設置し、いきもの調査を行いました。その結果、タヌキやウサギなどの生息が確認できました。一方で巣箱の利用は確認できなかったため、最適な設置場所を引き続き検討していきます。

■絶滅危惧種の保護

大野事業所では、2020年6月に実施したいきもの調査にて、敷地の一角に絶滅危惧種(環境省・絶滅危惧Ⅱ類)であるキンラン14株を発見しました。発見当時は開花時期は過ぎていましたが、2021年4月には8株の開花した姿を確認できました。大野事業所は都心に近い千葉県市川市に立地し、事業所周辺は住宅に囲まれている環境ですが、そんな中でキンランが発見されたことは大変喜ばしいことであり今後も見守っていきます。
また、大野事業所は市川市の「生物多様性モニタリング調査員」に登録し、事業所内でいきものを発見した際には「いちかわ生きものマップ」への投稿を行っています。

開花した状態のキンラン
開花した状態のキンラン

■緑化活動

エスアイアイ・クリスタルテクノロジー(株)では、2021年3月と4月の2回にわたり敷地内に芝桜の苗植えを実施しました。毎回約30名の社員が参加し、構内の花壇などにピンク200株、白50株の計250株の苗を植えました。4月の苗植えの際は、緑地の草刈りなどの緑地整備も同時に行いました。慣れない作業の連続でしたが、晴天にも恵まれ社員自らの手で気持ちよく緑化活動ができました。

苗植えの様子と芝桜
苗植えの様子と芝桜
草刈り中
草刈り中

■階層構造の緑地づくり

中国の大連精工電子有限公司でも、ガイドラインに基づき生物多様性エリアを設けて緑化を進めています。緑の階層構造も形成され、豊かな緑地に飛来する鳥はスズメやカササギ など種類も数も増えてきました。緑地の維持管理でも生物多様性に配慮し、殺虫剤や除草剤の使用は控え、枯れ枝や落ち葉などは堆肥化することで敷地内で循環しています。今後も生物多様性に配慮した緑地づくりに継続して取り組んでいきます。

階層構造の緑
階層構造の緑

■花壇づくり

幕張事業所では「通年で花いっぱい咲き乱れる事業所」をスローガンに掲げ、社員による花壇づくりに取り組んでいます。また、2017年より千葉県花き(花卉)振興地域協議会が主催する、花きイノベーション推進事業「幕張新都心地区における花壇づくりコンテスト」に毎年参加し、2020年度は「奨励賞」を受賞しました。

幕張事業所の花壇
幕張事業所の花壇