生物多様性保全

生物多様性保全の考え方

SIIは、生態系サービスからの恩恵を受けている企業として、生物多様性の保全は、本業においても取り組むべき環境経営の重要課題だと考えています。

SIIでは生物多様性の保全に取り組むにあたり2011年4月に生物多様性行動指針を策定し、具体的な取り組みを開始しました。

生物多様性行動指針 (2011年4月制定)

<基本的な考え方>

SIIグループは事業活動が生態系サービスの恩恵を受け、また、同時に影響を与えていることを認識し、生物多様性の保全に努めます。

 

<重点施策>

  • 事業活動を通じた生物多様性への影響について理解を深めます。
  • 製品・サービスのライフサイクルにおける生物多様性への影響を分析・評価し、その低減に努めます。
  • 地域の生物多様性保全に資する社会貢献活動を推進します。

2018年度の総括

「SIIグループ生物多様性土地利用ガイドライン」に基づく取り組みの第Ⅲステージと位置づけ、国内各拠点では、いきもの調査や花壇づくり、緑地整備など事業所の特性を活かした具体的な取り組みが進みました。
海外拠点においてもガイドラインに基づく緑地整備や啓発活動に取り組みました。

生物多様性に配慮した土地利用

土地利用評価と自然観察会

盛岡セイコー工業(株)(以下、盛岡セイコー)では、2012年より生物多様性の観点からみた土地利用状況の評価を継続的に実施しています。 「一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)」が開発した『いきもの共生事業所®推進ガイドライン』に基づき、社外の専門家にもご参加・助言をいただきながら取り組んでいます。
2015年からは、土地利用評価に加え、事業所敷地にて自然観察会を開催し、敷地の樹林地に生息する貴重な生き物の存在や生態について学んでいます。
2018年度は夏の昆虫類を中心に、土壌動物やその他哺乳類等を含めた生物調査を実施しました。多様な昆虫類及び土壌動物が確認され、これまでの生物多様性の観点から緑地を整備してきた効果を確認できました。

土地利用評価と自然観察会
土壌動物の調査中
樹林地に生息するいきものたち
樹林地に生息するいきものたち

盛岡セイコーは、2012年から生物多様性保全に取り組んできた結果、2015年2月に一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が運営する「いきもの共生事業所®認証(通称:ABINC認証)制度」において、工場版認証としては第一号となる認証を取得しました。その後、2016年10月にはABINCが創設した表彰制度「ABINC賞」にて特別賞を受賞しました。 この受賞は生物多様性保全活動を通じたコミュニケーションに優れている点が高く評価されたものです。2018年1月には、ABINC認証を更新しています。
また、盛岡セイコーは環境省や農林水産省などが主唱する「グリーンウェイブ」に2017年から参加しています。

特別賞受賞

盛岡セイコー工業が「グリーンウェイブ2019」に参加

ガイドラインによる取り組み

事業所敷地の生物多様性に配慮した土地利用の促進や、地域の生物多様性の保全への貢献を目指し、その考え方と手法を示した「SIIグループ生物多様性土地利用ガイドライン」を2016年2月に発行しました。
2018年度は第Ⅲステージとし、国内各拠点では、いきもの調査や巣箱の増設、花壇づくりや緑地整備など事業所の特性を活かした具体的な取り組みが進みました。巣箱を設置している拠点においては鳥が巣箱を利用している場面も確認されています。

社員制作による花壇(幕張事業所)
社員制作による花壇(幕張事業所)
コムクドリが巣箱に飛来(遠野精器)
コムクドリが巣箱に飛来(遠野精器)

中国の大連精工電子有限公司でも、ガイドラインに基づき生物多様性エリアを設けて緑化を進めています。元々アカシアを主とした緑化をおこなっていましたが、2016年からは楡、イチョウなどの喬木と、ライラック、レンギョウなどの低木を植栽し、緑の階層構造を形成しています。野生の樹木も成長し、豊かな緑地に飛来する鳥はスズメやカササギ など種類も数も増えてきました。緑地の維持管理でも生物多様性に配慮し、殺虫剤や除草剤の使用は控え、枯れ枝や落ち葉などは堆肥化することで敷地内で循環しています。今後も生物多様性に配慮した緑地づくり、緑地管理を継続していきます。

大連精工電子有限公司の生物多様性エリア
生物多様性エリア(大連精工電子有限公司)
階層構造の緑(大連精工電子有限公司)
階層構造の緑(大連精工電子有限公司)

製品と生物多様性

■製品のライフサイクルにおける生物多様性評価

SIIでは、生物多様性行動指針の中で、製品・サービスのライフサイクルにおける生物多様性への影響を分析・評価し、その低減に努めることを掲げています。
その一環として、2012年度よりLIME2を活用した、製品のライフサイクルにおける生物多様性への影響評価の試行を開始しています。

LIME2:(独)産業技術総合研究所が開発した日本版被害算定型影響評価手法の第二版

評価事例

■SIIグリーン商品制度への反映

2016年度からSIIグリーン商品基準の環境配慮項目に「生物多様性への配慮」を追加しました。製品においても生物多様性への配慮を強化しています。

地域との連携

大野事業所のヒメコマツ
大野事業所のヒメコマツ

生物多様性の保全には、企業単独の取り組みだけでなく、自治体や専門家など多様なステークホルダーと協力、連携しながら取り組むことも重要です。
千葉県内に所在するSIIの3事業所では、2016年2月より、千葉県のヒメコマツ回復事業の一環として募集した「ヒメコマツ系統保存サポーター」に登録し、千葉県の絶滅危惧種であるヒメコマツを育成しています。生育状況は毎年10月に千葉県に報告し、苗を育てることでヒメコマツに対する理解を深めるとともに、ヒメコマツの遺伝系統の保存に協力しています。
各事業所のヒメコマツは順調に成長していましたが、2018年5月、大野事業所においては苗木が突然枯れてしまうアクシデントがありました。千葉県より新たに苗木を受理し、引き続き新たな苗木の育成を見守っています。

3事業所:幕張事業所(千葉県千葉市)、高塚事業所(千葉県松戸市)、大野事業所(千葉県市川市)


生物多様性保全の啓発活動

イントラネットでの情報配信、生物多様性をテーマとしたニュースの発行、標語の募集などの啓発活動を継続的に行っています。

香港のSeiko Instruments (H.K.) Ltd.の社員とその家族の計18名は、Lung Fu Shan環境教育センターが主催する「Lung Fu Shan (龍虎山)エコロジー/歴史エコツアー」に参加しました。Lung Fu Shanは生態系と人類遺産の融合を見る事ができる場所です。美しい景色に魅了されながら、ガイドツアーを通して、Lung Fu Shanの生物多様性について多くを学ぶことができました。

ガイドから説明を受ける
ガイドから説明を受ける

【2015年度の事例】自然観察会を開催

2015年度はこれまでの土地利用評価に加え、事業所の敷地にて「自然観察会」を開催しました。自然観察会では、敷地の樹林地に生息するさまざまな生き物の存在と、それら生き物の持つ習性や生態について五感を使って楽しみながら学びました。
今後はこれらの「見える化」を推進し、ステークホルダーとのコミュニケーションを図っていきます。

自然観察会にて巣箱の利用状況を確認
自然観察会にて巣箱の利用状況を確認(社長も参加)
敷地に生息する生き物たち
敷地に生息する生き物たち

【2014年度の事例】いきもの共生事業所®認証の工場版第一号を取得

認証書
認証書

盛岡セイコー工業(株)は、生物多様性保全に継続的に取り組んできた結果、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が運営する「いきもの共生事業所®認証(通称:ABINC認証)制度」において、工場版認証としては第一号となる認証を取得することができました。
このABINC認証制度は、JBIB の『いきもの共生事業所®推進ガイドライン』を評価基準とし、生物多様性に配慮した緑地づくりに取り組む施設をABINCが第三者的に評価・認証する制度です。

盛岡セイコー工業 いきもの共生事業所®認証取得

【2014年度の事例】生物応答を用いた排水の安全性評価を実施

排水を採水
排水を採水

高塚事業所(千葉県松戸市)はWET試験による排水の安全性評価を実施しました。
WET試験とは、魚類(ゼブラフィッシュ)による魚類胚・仔魚期短期毒性試験、甲殻類(ニセネコゼミジンコ)による繁殖試験、藻類(ムレミカヅキモ)による生長阻害試験より構成されています。
評価の結果、試験生物への影響は認められず、生態影響リスクは極めて低く良好な水質であることを確認しました。この結果を励みに、引き続き水の安全を守ってまいります。


WET:Whole Effluent Toxicity(全排水毒性)。個別の化学物質を評価するのではなく、生物応答を用いることで、排水や環境水の安全性を総合的に評価する手法です。

WET試験による排水の安全性評価を実施